「初歩のラジオ」(196X年)
親に頼み込んで、近所の本屋で「初歩のラジオ」という本を月刊購読することにした。当時は、わざわざ本屋さんが届けてくれた。
毎月毎月、「初歩のラジオ」を穴が開くほど読み返した。小学生では、オームの法則とかも知らないし、電子回路の意味はあまり分からなかった。
特に、トランジスタが、PNPとかNPNの半導体の結合でできていて、電子が半導体の中を移動するのを邪魔すれば、「増幅できる」というのが分からなかった。
実際、「増幅」とは呼んではいるが、電気そのものを直接大きくしているのではなく、幻灯機みたいに、小さなフィルムの画面を大きな画面に映し出すことだと分かった。
つまり、小さな電流の変化(波)が、大きな電流の変化(波)になることを見かけ上、電気が大きくなったと言っているのである。むしろテコの原理に近い。