プラス・ワン 創立10周年(199X年)
プラス・ワンに来て10年近く過ぎていた。澤井さんの超人的とも言える、知力・体力・気力と、澤井さんを尊敬するスタッフの全員の力で、プラス・ワンは大きく成長していた。最初6人、10畳ほどの事務所からスタートして、社員数は15名を越え、江坂駅前のビルに引っ越し、バーチャル・イーストという姉妹会社も経営していた。
技術部も私1人だけだったのが、5名に増えた。VPXのメンテナンスや、たまに制作を手伝ったり、ソフトウェア開発の仕事を受けたりと、相変わらず忙しかった。
ある日、東京に出張した時に、昔東京のUMEXで知り合った人から「ちょっと遊びに来ませんか。」と連絡があった。軽い気持ちで出かけると、豪華な結婚式場のビルにある凄い広いオフィスに案内された。そこには、見たこともないSGIのワークステーションが大量に置いてあった。濃いコバルトブルーの丸い形をしていて、電気釜のような形だった。
「これ、O2というやつなんだけど、次のSGIの新製品で、わが社専用のラインで製造しているんだよ。」と言っていた。
そしてデモリールも見せてもらった。驚くことに日本中のCG制作会社に発注したゲームのオープニングのCGアニメーションであった。これから海外のCG制作会社にも発注して行くという。
最後に、サーバー・ルームを案内された。そこには、一台1億円もするPOWER CHALLENGEサーバが3台あった。目が点になった。
「良かったらここで働きませんか?」遊びに誘った訳では無かった。