JCGL 新たなプロジェクト(198X年)
PIXARの相手に嫌気がさしていた頃、JCGLで別のプロジェクトが秘密裡にスタートしていた。ハリウッド進出である。日本よりアメリカの方が映像製作費は高かったので、何とかアメリカに進出したいという望みがあったらしい。
また当時、CGの世界でセンセーショナルな出来事があった。ABELプロダクションの倒産である。あれほど素晴らしい数々のCGアニメーションを作り、CGの発展に寄与して来たABELプロダクションが倒産した。CG業界に衝撃が走った。
ロボットが飲むハワイアンパンチのCM映像が、機械が油を飲んでいるみたいと批判され製作費を支払ってもらえず、倒産したということだった。
CGの会社に勤める人間は、いずれは自分の会社もそうなるかもと唾を飲み込むところだが、JCGLの会長の考え方は違っていた。
「ABELプロダクションから優秀な人材が放出される。」
C/CPもまた東海岸から西海岸のハリウッドへの進出を狙っていた。そこでC/CPとJCGLが手を組んで、ABELプロダクションの人材を雇って、ハリウッドでCGプロダクションを始めるということを画策していたらしい。
またJCGLの会長は、2Dシステムを何とか完成させてビジネスにしたいとも考えてもいた。
「アメリカ人の大胆な発想、日本人の勤勉なプログラミング。これを組み合わせればきっとうまく行く。」そのプログラミングの担当者を社内で募っていたのであった。
ミーティングは何度も繰り返されたが、誰も手を上げなかった。