1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン SCOPE(198X年)

 3か月かかって、いよいよ制作部に新しいアニメーション・プログラムを使ってもらうことになった。このアニメーションのプログラムは、SCOPEと命名された。

 HP-UXには当時ウィンドウ・システムすらなかった。メモリも4MBと少なかったので、フルスクリーンにダイレクトに描画していた。Starbaseというグラフィックライブラリが付属していたが、これが使いやすくて結構高性能だった。Starbaseはもう途絶えてしまったが、今で言うところのOpenGLみたいなグラフィック・ライブラリである。

 画面を4分割して、左上に平面、左下に立面、右上にパース画面、右下にメニュー画面を配置した。オーバーレイスクリーン機能があったので、平面、立面には視点、注視点を表すワイヤーを引いておいた。これでどこをどうカメラが狙っているのかが一目瞭然で、オーバーレイスクリーンなので、カメラの位置が変わっても、平面や立面を再描画する必要がなかった。

 Stabaseでメニューも作った。ポリゴンで立体的なボタンを作り、マウスでクリックしたらヒット判定をして、押し込んだ形に見える様にポリゴンで描画して、サブルーチンを呼び出した。メニューのお蔭で、澤井さんも制作部のスタッフも使いやすいと喜んでもらえた。

 キャンセル機能もつけた。マウスの右ボタンをクリックすれば、レンダリング中でもキャンセルできた。これで失敗を見つけても、すぐにやりなおしができる。操作スピードが格段に速くなった。

 阪大の院生が作ったプログラムは、まずカメラの設定から始まり、平面、立面と、1画面ずつ順番にワイヤーフレーム画面を表示してから、画面をクリックしてカメラの視点、注視点の位置決めをしてからレンダリングがスタートした。メニューもなかったし、キャンセルもできなかったので、レンダリングが終わるまで、じっと待っているしかなかった。