1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン Zバッファ・レンダリング続き(198X年)

 Zバッファでは原理上、透明体ができないが、HPのグラフィックエンジンでは、スクリーンドア・トランスペアレンシィという方法で透明を実現していた。要するに、透明体のポリゴンのピクセルを1個飛ばしに描画すると、遠目に見れば透明体の様に見えるのである。Zバッファの苦肉の策であった。

 このスクリーンドアトランピアレンシィはガラスにも使ったし、影にも応用した。それはトンネルなどの影であった。やっぱり、ウソでも影があるのとないのとでは、リアリティが違う。

 Zバッファは、悪いことばかりではなかった。建築のCGアニメーションでは、ワイヤーフレームが重宝された。ワイヤーフレームもちゃんとZ判定されるので、ポリゴンと混在可能だった。

 しかし、Zバッファ最大の欠点は、ジャギーだった。ここもプラス・ワンの制作部の色彩設計がすばらしくて、ジャギーが目立たなくなるように配色に工夫を凝らしていた。

 また、天空はポリゴンのバーテックスカラーという単純な方法で作られていた。やや青い水色の天空の色、灰色の地平線の色というたった2つのグラデーションで、自然な広い空に見えた。

 当時、他にも建築のCGはあった。空は水色一色、かくかくしたフラットシェーディングで、色も赤、緑、青という原色を使ったCADそのものの画面だった。プラス・ワンのCGは、リアリティで一線を画していた。建築物の精緻なモデリング、自然な色彩設計や自由な視点のアニメーション、これがプラス・ワンのCGの特徴だった。