プラス・ワン 初のビデオ合成(198X年)
在版のSビデオスタジオとの協力を得て、ブルーバックで高松伸氏を撮影した。ただ固定カメラを置いて撮影するのではなく、カメラのトラック移動のシーン用に、レールにカメラを2台セットして、1台はブルーバックの高松伸氏を、もう一台の小型カメラは、レールに張り付けてある巻尺の目盛りとタイムコードの映像を撮影した。
つまり映像そのものと、カメラが移動した距離とタイムコードの両方を記録したのである。収録後、制作部の女性Yさんが、巻尺の目盛りを撮影した小型カメラの映像をベータカムで1コマずつコマ送りして、タイムコードと目盛りの値を、テンキーでひたすらPC98で入力した。
ビデオカメラとCGの画角を合わせる方法も澤井さんは考案した。模造紙に分度器状の大きな図形を描いて、ビデオカメラをその模造紙の分度器の90度の線上に置く。
ビデオカメラをその線上に動かして行くと、放射状に出ている線のどれかが平行に見える位置がある。その線が画角に等しい角度であり、その時の分度器の中心がカメラの焦点だという。この実測によって精度の高い合成が可能になった。
まさに科学の実験の世界であった。そしてぴったりと合成に成功したのである。
合成シーンには、高松伸氏を中心にして、回り込みをしているシーンがある。中心にいる高松伸氏も実は回っている。これば、ブルーバックのステージ上の高松伸氏を電動ターンテーブルの上に乗せて、ゆっくり回して撮影したのである。収録したビデオからタイミングを逆算して、アニメーションを作ったのであった。