1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン カメラのアニメーションの講義(198X年)

 以前、プラス・ワン社内で、澤井さんがカメラのアニメーションの秘訣をスタッフの前で披露したことがあった。

 澤井さんは、30cm直定規を取り出して、両端を指先でつまんで、空中でぐるぐる回して動かして見せた。

「えー、この定規の、端っこと端っこが注視点と視点と考えて下さい。」

「回り込みの時は、この注視点と視点の位置関係を保ちながら、動かして行きます。」

「狭い所を通る場合には、壁や天井に当たらない様に回り込む様に動かします。」

「階段を登る時には、階段を見て登るのではなく(定規を動かしながら)、これから見る景色の方をあらかじめ見たりします。」

 定規の注視点部分が変わると、視点位置もそれにつれられて回り込んでいく。動かしている定規がまるで生き物の様に見えた。

「カメラのアニメーションを作る時には、是非定規を持ってイメージトレーニングをやってみて下さい。」と、楽しそうに説明してくれた。

 SCOPEのカメラ操作の機能は、澤井さんと色々話をしながら開発して行った。だから、SCOPEは澤井さんの分身みたいなものであった。これでアニメーションを作っている時の澤井さんは、本当に楽しそうだった。