プラス・ワン 澤井さんと映画館に(198X年)
澤井さんは、映画大好き人間だった。映画のうんちくも凄かった。話し出すと半日でも映画の話をしていた。
ある土曜日の朝、「映画見に行かへん?」と誘われた。仕事を早めに切り上げて出かけるのかと思っていたら、いつも通り24時まで仕事していた。
今日はもう出かけないのかと思っていたら、「ほな、行こか。」とやおら社用車の中古のクラウンを出して来た。
新御堂を爆走してあっという間に梅田に到着。駐車場に車を入れたら、オールナイトの映画館を次々にはしごして、立て続けに違う映画を3本も見た。そんな映画の見方したこともない(笑)
そもそも、澤井さんがCGに興味を持ったのは、エイブル・プロダクションが制作したシカゴだったと常々話していた。いつかはシカゴを越えたいとも言っていた。もしロバート・エイブルが澤井作品を見れば称賛してもらえるに違いない(どちらも故人)
その前に、澤井さんが建築の道に進むきっかけになったのは、ある大学の建築に関する論文だとも言っていた。そんな見事な論文があるのなら読んでみたいと思っていたが、とうとう叶わなかった。
澤井さんが、阪大時代に描いた手書きのパース図面とかも、見せてもらったこともある。パース図面は、人物入りで描いてあったが、その人物は「ラムちゃん」であった(笑)
マンガ雑誌は、ジャンプからモーニングまで週刊誌を7、8冊位は読破していた。映画からアニメ、マンガまで天才の守備範囲は広かった。