1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン シャドウイング(199X年)

 影は、オブジェクトを高さ方向にスケール0で潰して斜めにして重ね描きでレンダリングしていた。ウソ影でも無いよりましであるが、やっぱり正確なシャドウイングは必要だと思っていた。しかし、技術部をたった一人でやっているので、手が回らなくなって来た。

 そこで澤井さんの知り合いの電気通信大の准教授からプログラマを紹介してもらって、社員に迎えた。CGの研究をしているだけあって、シャドウイングの計算は大丈夫という返事だった。プラス・ワンでのレンダリングは、グラフィック・エンジンを使うので、キーとなる太陽光となる平行光線の影を、ポリゴンで打ち抜いて影のポリゴンにするプログラムをお願いした。

 最初は計算時間がかかったが、何度か澤井さんや制作部にテストをしてもらって改良して、PA-RISCのパワーもあって充分高速なプログラムになった。そしてついに本格的なシャドウイングが完成した。

 セルフシャドウイングも可能で、影は建物自体にもきちんと落ちている。影はポリゴンなのでレンダリング時間はさほど変わらない。

 建築で必要な影はただ一つ「冬至」の影だった。冬至の影が一番長いので、日照問題の検証のために必要であった。

 しかし、実際には短い影が採用された。色々社会的な問題を配慮しての選択だったんだろう。以前にも、写真との合成を正確にすればするほど、クライアントが難色を示す場合もあった。これもやはり社会的な問題なんだろうなあ。プログラムより難しい()