1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン CG全盛期へ(199X年)

 VPXユーザ会は、年に一回催して、各社が制作したCGアニメーションを上映したり、澤井さんの講演をお願いしていた。澤井さんは、どんなに忙しくても、何も準備していなくても、檀上に上がって「えー…」という第一声を発すると、その一瞬で今日話す内容を頭の中にまとめてしまい、淀みなく話した。会場が多少ざわついていても、澤井さんが低い声で話し出すと、誰もが澤井さんの話を聞き洩らさないようにと静かになった。

 それにしても、HPのグラフィック・エンジン、TurboVRXの後継機が出ないのには困った。唯一発表された小型のグラフィックス・エンジンCRX24Zを購入して、VPXを移植してみたが、テクスチャマップの描画が目で追えるほと遅かった。TurboVRXのパフォーマンスからは程遠かった。

 SGIにも移植してみることにした。この頃は、IrisGLからOpenGLに変わったところだった。やっぱりTurboVRXの様なパフォーマンスは出なかった。WindowsNT、当初3Dグラフィックアクセラレータもなく、全く使い物にならなかった。

 ワークステーションも各社から次から次へと発売されていた。安いワークステーションを数台並べてレンダリングして、高品質なCGアニメーションを制作できる時代になりつつあった。VPXとソフトで競合する会社も現れて来た。

 しかし、建築みたいな莫大なポリゴンデータで、分単位のアニメーションを作ることを考えると、まだまだグラフィック・エンジンに分があるように思えた。プラス・ワンには、まだまだ仕事はあった。でも、いつまでも優位が続くかどうか、もう時代が追いついてきそうな気配であった。