1980年からプログラマしています

どうしてプログラマすることになったか書いています。過去日記です。

プラス・ワン 映り込み(199X年)

 新梅田シティの完成イメージのCGアニメーションを作ることになった。建物は全面ハーフミラーで出来ているという。澤井さんが、このガラスの反射をレイトレーシングレンダリングしてみたものの、あまりにも時間がかかり過ぎて1枚計算するのがやっとだった。

 レイトレーシング画像を設計者に見せたところ、こんな風に映り込む筈がないと言われたらしい。2つのタワーをつないている頂上部分の円形部分の内側ミラーガラスは、曲面を構成しているといっても、ガラス自体は平面なので、映り込みは連続しない。後に建物が完成して見学に行ったが、映り込みは実際その通りだった。CGウソつかない()

 レイトレーシングがダメならと思って澤井さんは、カメラのアニメーションを作った後、カメラの視点とミラーガラスとの垂直ベクトルから反射ベクトルを求め、その反射ベクトルからの視点でCGアニメーションをレンダリングした。

 つまり、ミラーガラス6面に映り込むべき画像を別レンダリングしていったのである。

そして、ミラーガラス6面分の映り込みのアニメーションと、6面分のミラーガラスのマスクのアニメーションをレンダリングしてベータカムに収録。ビデオ編集室で合成した。今ならデジタル編集で簡単にできてしまうが、当時はベータカムのABロール編集であったので、ダビングを6回繰り返して作った。

 何と、レイトレーシングで作ったと言っても、誰も疑わないようなアニメーションが完成した。これには、プラス・ワンにいるCGプログラマ2人も真っ青になった。