プラス・ワン 仲直り(199X年)
A/E/Cシステムズの座談会の爆弾質問以降、笹田教授は大きく方針を転換した。プラス・ワンとCGアニメーションで張り合うのでなく、全く別のODE(Open Design Enviroment)というコンセプトを打ち出し、CGアニメーションはその中のほんの一部であるというスタンスにした。さすが大学者である。
そして1年後、とある大学教授の仲介によって、笹田教授と澤井さんの仲直りが行われた。私も澤井さんと一緒に菓子折りを持って、阪大の笹田研究室に挨拶に行った。
笹田教授と澤井さんは、一言、二言会話を交わしただけで、笹田教授が一方的に澤井さんを罵倒するようなことはなかった。実は、何かあるといけないと思って、小型のテープレコーダをポケットに忍ばせておいたが、無用だった。とりあえず良かったと胸をなでおろした。それ以降、笹田教授の介入は無くなったのである。澤井さんからも話が出なくなった。
ところで、笹田研究室にはやたら猫がいた。猫のうんちとタバコのにおいがミックスされた研究室だった。